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クオドラントアワード2011を開催

クオドラントは、エンジニアリングプラスチックや複合材料の研究開発に従事する若手研究者の育成と産学連携を目的に、2005年からクオドラントアワードを開催しています。このクオドラントアワードは、「エンジニアリングプラスチックや複合材の材料や加工」をテーマにした博士論文を表彰する制度で、2年に1度開催されます。今回は2008年10月1日から2010年9月30日までの間に上記の分野で博士論文を書いた大学院生と卒業生に応募していただきました。4回目となる今回は、世界中から43の論文の応募があり、2011年1月22日土曜日にその最終選考会と表彰式がチューリヒのスイス連邦工科大学(ETH)において開催されました。事前審査で選ばれた最終候補者6名の中から東京大学の梶谷忠志博士の論文が第1位(賞金15000ユーロ)に選ばれました。日本人の1位受賞は今回が初めてです。梶谷忠志博士は、現在、フランスのパリ第7大学複合材料システム研究室でポストドクトラル研究員として研究を続けています。第2位(賞金7000ユーロ)にはスイス連邦工科大学チューリヒ校のNorman Lüchinger博士の論文が選ばれました。Norman Lüchinger博士は現在、ポスドクトラル研究員時代に共同設立した会社Nanogradeで材料開発に携わっています。第3位(賞金3000ユーロ)には米国のノースウェスタン大学のMichelle Seitz博士の論文が選ばれました。彼女はペンシルベニア大学のエンジニアリングマテリアルサイエンスにおいてポスドクトラル研究期間を終え、2011年1月からオランダのDSMで研究者として働いています。最終候補者の他の3名は、米国のイリノイ大学のStephen Anthony 博士と同大学のBenjamin Blaiszik博士、そしてマサチューセッツ工科大学のAyse Asatekin,博士でした。
次回は、2013年に開催予定です。

第1位、「Dynamics of the Drying Process of Polymer Solution Droplets

梶谷忠志博士

梶谷博士は、液滴が蒸発する際の溶解物の表面析出現象に関する根本問題に取り組みました。液滴が蒸発すると、縁部分での溶解物の析出濃度が高くなるためリング状の模様が残ります。この身近に知られた現象は「coffee ring effect(コーヒーリング効果)」として知られており、ポリマー表面への微細プリントや薄膜からの一様な析出が必要なプロセスなどにおいて多くの用途があります。梶谷博士は独自の装置を用いて、液滴の形状や柱密度を測定して析出過程の精密なモデル化を行いました。マランゴニ効果を応用して問題を解決することを思いつき、界面活性剤を添加することによって、液滴から溶解物を一様に析出させることに成功しました。

第2位「Metal Nanoparticle Based Composite Materials」

Norman Lüchinger博士

Lüchinger博士の研究は非常に革新的な問題解決法を提示しました。目下の問題は強磁性を有する可塑性高分子材料からナノ粒子を鋳型して形成される膜までが対象となりました。彼の論文で、博士は科学的推論と実験からこの課題に挑みました。さらに、博士はどのようにすれば優れた研究を迅速に工業化できるかを提示しました。このことはLüchinger博士の博士論文研究に基づいて設立した新事業に深くかかわっています。


第3位「Triblock Copolymer Gels – Structure, Fracture Behavior and Application in Ceramic Processing」

Michelle Seitz博士

モデル系の巧みな設計、構造とレオロジーの洗練されたキャラクタリゼーション、非線形の機械試験、および最先端の理論を駆使したSeitz博士の研究とプレゼンテーションに審査員は大きな感名を受けました。架橋し、自己集合したミセルからなる構造制御されたゲルは、破断モルフォロジ―の秀逸な研究と結びつきました。その精密で考察の深いデータ解析は称賛に値するものでした。

Stephen Anthony博士、Benjamin Blaiszik博士、Ayse Asatekin博士の論文も2011年クオドラントアワードの最終選考で発表されました。
審査委員のメンバーは、国際的に高い評価を得ている大学や機関の教授からなり、材料及びプラスチック研究の分野において長年の経験があり、毎年多くの博士候補者を指導しています。6人の審査委員メンバーは、

Volker Altstädt教授(博士)

Bayreuth大学ポリマー・エンジニアリング学部長(ドイツ)

Glenn H. Fredrickson教授(博士)

カリフォルニア大学サンタバーバラ校化学・材料工学部三菱化学先端材料研究センター所長(米国)

Martin Gruebele教授(博士)

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(米国)James R. Eiszner化学・物理学教授、コンピューター・バイオロジー・生物物理学教授

Jan-Anders Månson教授(博士)

スイス連邦工科大学ローザンヌ校ポリマー・コンポジット・テクノロジー研究室(スイス)

西敏夫博士・教授

東北大学原子分子材料科学高等研究機構ソフトマテリアルグループ長(日本)

Ignaas Verpoest教授(博士)

ルーヴェン・カトリック大学(ベルギー)金属材料工学部コンポジット材料教授、ルーヴェン材料研究センター長

Paolo Ermanni教授(博士) - (審査員ではなく司会)

スイス連邦工科大学チューリヒ校構造技術センター

クオドラントアワードの贈呈品(盾)は、国際的に有名なスイスのアーティスト、Beat Zodererがデザインしたものです。プラスチックの円盤が複合的に重なったデザインは熱可塑性樹脂は溶けて液状にもなりうるという発想に基づいています。紙やパネルの上に落ちた液状樹脂は様々な大きさの滴(しずく)を形成し、それはまた革新的な発想が雫のようにひらめくということを表現しています。
Beat Zodererはこの発想を円形の連なったレリーフ模様にしました。この盾にはベルギー、ティルトのクオドラント工場で製造されているErtacetal C blue 50 plasticが材料に使われました。

オドラントアワード2011年の受賞者、左からMichelle Seitz博士―ノースウェスタン大学・米国(第3位)、Dr.梶谷 忠志―東京大学・日本(第1位)、Norman Lüchinger博士―スイス連邦工科大学(ETH)チューリヒ校・スイス(第2位)

候補者、審査委員、司会、主催者、クオドラントアワード2007年受賞者のグループ写真

前列左より、Benjamin Blaiszik博士(最終選考候補者)、Michelle Seitz博士(第3位)、Dr.梶谷 忠志(第1位)、Norman Lüchinger博士、Stephen Anthony博士(最終選考候補者)、Astrid Keller(クオドラント)

後列左より、Paolo Ermanni教授(博士)―スイス連邦工科大学(ETH)チューリヒ校(司会)、Jan-Anders Månson教授(博士)―スイス連邦工科大学ローザンヌ校、西敏夫教授東北大学原子分子材料科学高等研究機構(日本)、René-Pierre Müller博士―クオドラント代表取締役兼執行役員、Ignaas Verpoest博士―ルーヴェン・カトリック大学(ベルギー)、Glenn H. Fredrickson博士―カリフォルニア大学サンタバーバラ校(米国)、Martin Gruebele博士―イリノイ大学(米国)、Volker Altstädt博士―Bayreuth大学(ドイツ)、Woo Soo Kim博士(クオドラントアワード2007年受賞者)

Ayse Asatekin博士(最終選考候補者)は写真に載っていません。

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